11/15/2012

骨格系 発生


概説
① 一般に骨格の発生は、膜様期、軟骨期、化骨期の3つの経過を辿るが脊椎ではこれに加えて脊索形成が先行する。⇦脊索は椎体の中で退化、椎間板内では残存し、液性変化を起こし髄核になる

② 骨格系は神経堤(neural crest)と中胚葉(沿軸中胚葉と側板中胚葉)から形成される
ⅰ)沿軸中胚葉は神経管の両側に見られる中胚葉細胞の肥厚した柱で、およそ胎生17日目までに形成される⇦沿軸中胚葉は分節板とも呼ばれる
ⓐ胎生第3週末、沿軸中胚葉が分化して体節(somite)になる⇦体節からはのちに体幹筋、椎骨や真皮などが形成される
ⓑ体節は分化して、腹内側の椎板(椎節、硬節)と後外側の皮筋板となる


③骨化形式
ⅰ)膜性骨化
胎生期における未分化間葉細胞が骨芽細胞に分化し、類骨(osteoid)、骨小柱(bone trabecula)を経て骨細胞となる。これを膜内骨化(intramembranous ossification)という。骨芽細胞は複数の骨化中心で骨様組織を合成、分泌して骨様組織の無機質沈着が起きる。そしてその骨芽細胞は小腔に閉じ 込められ骨細胞になる。前頭骨、頭頂骨、後頭骨、側頭骨、頭蓋冠を構成する扁平骨、下顎骨の一部、鎖骨などがある。

ⓐ間葉組織細胞から直接骨化するもの
ⓑすなわち、軟骨細胞が形成されずに間葉細胞が骨芽細胞を経て骨細胞に変化して骨化が起こるもの
ⓒ結合組織性骨化ともいう

ⅱ)軟骨内骨化
胎生~思春期における硝子軟骨が骨組織に置換されることを軟骨内骨化(内軟骨性骨化)という。椎骨、四肢骨などがある。すなわち胎生期は軟骨で骨格が作られている。 細胞レベルで見てみると次の現象が起こっている。軟骨細胞は肥大化後、やがて細胞死する。細胞死中の軟骨細胞は破骨細胞に取り込まれて処理される。軟骨細胞がなくなった部分には、骨芽細胞が骨基質を分泌して骨を形成する。成長期では、軟骨細胞が破骨細胞に吸収される速さと、骨芽細胞によって石灰化していく速さが等しく、動的平衡を保っているため、身長が伸びる。ホルモン異常により、思春期を過ぎても骨化がつづく場合があり、末端肥大症や、巨人症を引き起こす。

中胚葉の間葉細胞濃縮が始まり、前軟骨状態及び軟骨を経て骨化が起こるもの

11/14/2012

頭蓋骨


ヒトの場合、成人の頭蓋骨は通常28個の骨から構成される。下顎を除いて、頭蓋の骨格はすべて縫合によって互いに連結されている。
8個の骨格が神経頭蓋を形成し、14個の骨格が内臓頭蓋を形成する。中耳の6個の耳小骨は側頭骨の内側に包まれる。通常、喉頭を支持する舌骨は頭蓋骨の一部と見なさない。

頭蓋顔面は、20個以上の骨から構成される頭蓋顔面骨としてまとめられ、その役割から脳や中枢神経組織を外部から保護する頭蓋骨群、その下部から支持する頭蓋底骨群、そして顔面を構成する顔面骨群の3つに大別することができる

頭蓋骨や顔面骨の多くは、骨芽細胞が直接骨を形成する膜性骨化様式であるのに対し、頭蓋底は一旦軟骨形成を経た後に骨に置き換わる内軟骨性骨化様式をとる

7/06/2012

原始胚細胞


胎生4週頃は、形態形成、組織形成に関連する多くの遺伝子が連鎖的に発現する時期とされ、体を形成するといった観点から極めて重要な時期といえる。
胎児期の原始胚細胞が段階的に分化して精子,卵子になる。また原始胚細胞は原始生殖腺を発達させて精巣、卵巣を形成させる。

原始胚細胞は胎生3週の頃、尿膜に近い卵黄嚢壁の内胚葉細胞間に出現し、胎生5週(生殖腺原基が形成されるステージ)までに後腸の背側腸間膜に沿いアメーバ運動で移動し、将来生殖腺原基となる生殖隆起に到達する。原始胚細胞は、移動に失敗し、目的地である生殖隆起に到達せずに他の部位に紛れ込み腫瘍化することもある。

第6週に原始胚細胞が原始生殖腺の生殖堤に到達すると生殖腺が発達し卵巣,精巣が形成される。原始胚細胞がないと生殖腺の発達が開始しない。

中胚葉由来の生殖隆起は、移動して来た原始生殖細胞と共に、生殖腺原基(後の精巣、卵巣)を形成する。
のちの成熟した生殖腺(精巣、卵巣)に含まれる細胞のうち、生殖細胞(卵子、精子のもと)となるのは、移動して来た原始胚細胞由来の細胞のみであり、生殖隆起を形成する細胞群は、その「いれもの」としての役割に終始する。
ヒトでは生殖細胞(原始胚細胞)が、生殖腺原基の器の部分(生殖隆起)を構成する細胞から分化してくるのでなく、別の場所で分化してから「移動」してくる、しかも生殖隆起は中胚葉性の中腎表面の肥厚、原始胚細胞は内胚葉性の卵黄嚢と、その由来までもが異なる。

これは、生殖細胞が他の細胞とは違う「特別な細胞」であること、将来生殖細胞の「いれもの」となる生殖隆起を構成する細胞群と、生殖細胞となる原始胚細胞とでは明確な役割分担があり、それぞれのアイデンティティーが確立されていること、生殖細胞の分化が胚発生のごく早い段階(遅くとも胎生3週の頃)で既に行われていて、別の細胞は、その肩代わりができないことを示唆している。

7/05/2012

胚細胞腫瘍とは?


胚細胞腫瘍をもっと詳しく知りたいあなたのために


胎児期の胎生4週に原始胚細胞(原始生殖細胞)が出現し、胎生5週に将来の卵巣や精巣を形成する生殖堤(隆起)へ移動する。この原始胚細胞から卵子や精子 などの胚細胞が形成される。胚細胞腫瘍は、胎児期の原始胚細胞が胚細胞になるまでの間に発生してくる腫瘍と理解されている。胚細胞腫瘍は卵巣や精巣の他、頭蓋内(松果体)、縦隔、胃、後腹膜、仙尾部などの性腺以外の部位からも発生する が、これは胎児期の発生段階で迷入した原始胚細胞から発生するものと推察されている。

頭蓋内に発生する胚細胞腫瘍は、全脳腫瘍の約3%と報告されている。欧米ではその発生率は約1%なので、日本では約3倍の発生率ということとなる。頭蓋内胚細胞腫瘍は、日本や韓国などの東アジアに多く発生すると報告されているが、その理由は未だ明らかではない。また、小児脳腫瘍の代表である髄芽腫の3倍の発生率と言われている。

9/21/2011

神経管形成

神経板誘導(GA3wはじめ)


神経管が出来る過程を神経管形成(neurulation)といい、胎生第4週に完成。

中枢神経系は、胎生第3週(day18)に原始窩の前方、正中背側に神経板ができることにより発生が始まる。脊索(中胚葉性)の誘導によって胚性外胚葉が肥厚して神経外胚葉となる(神経誘導)。この厚い板状の外胚葉を神経板といい、神経板は最初単層神経上皮細胞で構成されるが、神経管が形成される頃には多層となっていく。

神経誘導に部位特異性を与える分子機構
外胚葉を表皮に分化させるBMP4が原始結節、脊索のノギン、コルジン、フォリスタチンによって不活性化される


この神経板は正中部が陥凹して神経溝となり、その両側の部分は隆起して神経ヒダとなる。神経ヒダは特にその頭側で大きくなっている。神経溝は外側壁が中央で癒合して神経管となり、残りの胚性外胚葉から分かれる。残りの胚性外胚葉は体表外胚葉になる。

脊索による神経誘導が行われない場所ではBMP4の働きによって表皮に分化する。

脊索と神経板の長さは、はじめ一致しているが脊索が脊索前板を超えて伸長できないのに対し、神経板はそれが可能であるため、神経板は脊索を超えて頭側に広がる。
神経板はやがて吻側が脳管となり、最終的には脳となる。尾側は脊髄管となって最終的に脊髄となる。
脊索は脊髄管全長と脳管後半の腹側に位置する。脳管は前半部が終脳と間脳となり、後半部が中脳と菱脳が分化する。

神経ヒダ

神経板の左右外側壁の細胞分裂は特に盛んで、神経ヒダと呼ばれる。
神経板の正中部は次第に凹み、神経溝と呼ばれるようになる。

胎生第4週(day22)、左右の神経ヒダが癒合し、神経管が形成される。この神経管が出来る過程を神経管形成(neurulation)という。
神経ヒダの癒合は、将来の脳と脊髄との移行部付近(神経溝全体の中央)から始まり、頭側、尾側に向かって進む。⇔ 第4体節域から始まる

神経管閉鎖は胎生第3~4週、第47体節レベルから始まり、頭側、尾側へ進行する。

神経管形成

GA4(day22ころ)左右の神経ヒダが癒合し、神経管が形成される ←神経管形成
神経ヒダの癒合は第4体節域(将来の脳脊髄移行部)で始まる
神経管閉鎖は胎生第3~4週、第47体節レベルから始まり、頭側、尾側へ進行する。

神経管の頭側、尾側は開いたままであり、前神経孔(anterior neuropore),後神経孔(posterior neuropore)と呼ばれる
形成初期の神経管腔は前神経孔と後神経孔で羊膜腔に開口する
GA4wまでに閉鎖する
前神経孔閉鎖:胎生25日(23~26)
後神経孔閉鎖:胎生27日(26~30)
神経管閉鎖により、神経管は閉鎖性の環状構造物となる
☞神経管閉鎖不全により生じる中枢神経系奇形を神経管閉鎖不全症(dysraphism)と総称される
前神経孔が閉鎖し、将来的に終板(lamina terminalis)にな
終板は間脳蓋板から視交叉まで
終板は左右の大脳半球を連絡する ☞交連線維の通路
終板は透明中隔も形成
後神経孔の閉鎖は頭側から尾側へ進み、第2仙椎の高さ(31番目の体節の高さ)で終わる ☞後神経孔は将来の第2仙椎に一致する
神経管:分裂の盛んな多列円柱の神経上皮細胞(神経外胚葉細胞)からなり、のちに3層に分化する

8/23/2011

後頭蓋窩


後頭蓋窩とは、頭蓋内空間の一部分を指し、大後頭孔から小脳テントまでの部分をいう。頭蓋の中では、最も下方に位置する窩で、小脳、延髄、橋を含んでいる。小児では、脳腫瘍や奇形が後頭蓋窩に起こることが多く、小児脳神経外科医にとっては重要な部位といえる。



鑑別すべき腫瘤性病変

成人
単一病変
1.経験則として、成人後頭蓋窩に発生する充実性病変の鑑別診断は、他の診断が確定するまで第一の鑑別として転移性腫瘍、第二に転移性腫瘍、第三に転移性腫瘍である。
2.血管芽腫:成人後頭蓋窩に発生する原発性髄内腫瘍では最大の頻度を示す(後頭蓋窩脳腫瘍の7-12%)。
3.毛様細胞性星細胞腫:充実性あるいはのう胞性で、若年成人に多い傾向がある。
4.脳幹神経膠腫:成人では比較的まれ。
5.膿瘍
6.海綿状血管腫
7.出血
8.梗塞

複数病変
1.転移性腫瘍
2.血管芽腫
3.膿瘍
4.海綿状血管腫

小児
4種類の腫瘍が18歳以下のテント下脳腫瘍の95%を占める。上位3種の発生頻度は同じ。
1.PNET(髄芽腫を含む)27%:多くの場合第4脳室屋根から発生、ほとんどが充実性。
2.小脳星細胞腫 27%:小脳半球から発生。
3.脳幹神経膠腫 28%:
4.上衣腫
5.脈絡叢乳頭腫
6.転移性腫瘍:神経芽腫、横紋筋肉腫、Wilms腫瘍


8/02/2011

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍とは、原始胚細胞という細胞群が腫瘍性(からだの中で秩序なく増えていく性質)を獲得し、どんどん大きくなっていき、塊をつくってしまったものです。本来生殖器(精巣、卵巣)に発生する腫瘍群の総称で、なぜその腫瘍群が頭蓋内に発生するかはまだ分かっていません。

頭蓋内胚細胞腫瘍とは、5,6歳から思春期ぐらいのこども達におこる、どちらかというと男の子に多い病気です。神経下垂体部や松果体という脳の真ん中にある構造物付近に多く生じます。神経下垂体部病変では、ホルモンの異常により成長障害や尿崩症の症状でみつかったり、腫瘍の圧迫や浸潤により視力・視野障害などが出現したりします。松果体の病変では、水頭症や頭蓋内圧亢進症状から診断に至ることがあります。診断時に複数の病変や脊髄への播種を認めることもあります。日本での発生頻度を見てみると、全脳腫瘍の約3%で、5歳から19歳までの間にほぼ65%が集中しています。診断時の平均年齢は18歳前後と報告されていて、4歳以下や30歳以上の人たちにこの腫瘍群が発生することは稀です。また、男性に圧倒的に多く発生しますが、この理由もまだ分かっていません。

尿崩症(にょうほうしょう):尿中へ水分の排泄を調節する抗利尿ホルモンというホルモの異常により多尿となり、その結果摂取する水分が増える(多飲多尿)

水頭症(すいとうしょう):脳や脊髄の周りを循環する脳脊髄液が何らかの原因により異常に貯留し、脳室が拡大、過去あるいは現在において頭蓋内圧亢進を呈した病態

頭蓋内圧亢進(ずがい ないあつこうしん):頭蓋骨で囲まれた、脳が入っている空間の圧力が何らかの影響で上昇し、その結果脳に影響を及ぼすこと