小児脳腫瘍の抱える問題点
・ 小児の固形がんの中では最も発生頻度が高く、かつ死亡率の高い疾患である
・ 小児悪性腫瘍による死亡の最大の原因は脳腫瘍である
・ 治療法の選択が極めて難しい
・ 日本においては,少ない症例が多くの施設に分散することで、治療水準の向上を妨げている
・ 高度な治療のできる施設が限られており、それらの施設でも十分な治癒実績が得られていない
・ 施設によって受けられる治療に大きな格差が生じている
・ 高度な機能を持つ脳に対する治療の結果、救命できても重い障害が残ることが多い
・ 成人後も継続する治療の経済的負担が大きい
・ 障害により、成人後の自立が難しい
・ 乳幼児・学童・生徒に長期の治療を行うため、保育や教育の現場での配慮が必要になる
・ 入学・復学がうまく行かない
・ 知能低下、機能低下、体調不良などにより学校生活にうまく適応できない
・ 発達期の子どもに対する心理的な影響が大きい
上に挙げたように、小児悪性腫瘍、特に脳腫瘍が抱える課題は 枚挙にいとまがない。医学的な課題、社会的な課題、行政的な課題など、現在それぞれの専門家が地道に解決策を模索している。そのなかでも、拠点となる病院、センターとしての病院への集約化は、知識、技術、know-howの蓄積という意味では課題解決のための最大の試金石になる可能性がある。