7/11/2014

今後は下記のページで小児脳神経外科疾患関連の記事を掲載することと致しました。
機会がございましたら、覗いてみてください。
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12/25/2012

頭蓋骨発生 その3


ヒトの頭蓋底では、胎生12ヶ月までに頭蓋底を構成する骨群の前駆体して
①前脊軟骨(prechordal plate)
②下垂体軟骨(hypophyseal plate)
③傍索軟骨(parachordal plate)

3種の軟骨小塊が生じる。これら軟骨のうち、①②は主に神経堤由来細胞から、③は第一頸部体節椎体由来の細胞から発生する。その後、各軟骨塊は互いに融合して一塊の軟骨板となり大後頭孔から眼窩鼻腔まで拡がりつつ、脳を下方から支持するようになる。やがて軟骨板に複数の骨化中心が独立して出現し、次第に骨組織に置換されていくが、それぞれの骨組織の間には軟骨組織が残存した軟骨結合が見られる。

ヒトでもマウスでも軟骨結合は基本的に、増殖軟骨細胞層、前肥大軟骨細胞層、及び肥大軟骨細胞層から構成さてる鏡像対象的な2つの成長板が中央部の静止軟骨細胞層を介して存在する。この軟骨結合は、蝶形篩骨軟骨結合、蝶形骨間軟膜結合、蝶形後頭軟膜結合および後頭骨間軟膜結合として存在し、それぞれが骨への成長を司るが、軟膜結合の骨化時期はそれぞれ部位特異性であり、例えばヒトの場合、蝶形骨間軟骨結合は生後まもなく骨に置換されるが、蝶形後頭軟骨結合は10歳後半まで存在し、頭蓋底の前後方向に沿った成長時期に関与する。
一方、頭蓋底の前方は顔面中央部と連続しているために、その形成並びに機能不全は顔面骨格の成長に大きな影響を与える。


軟骨性骨原基は既に出現している脳神経や主要血管の周囲に位置し、軟骨性骨形成を行われる⇨脳神経、血管は孔を通して頭蓋外へ通じる

魚類、両生類、爬虫類は生存している限り頭蓋の成長は続くが、哺乳類では性成熟の時期に終了する

12/19/2012

頭蓋骨の発生 その2


②頭蓋骨の大部分は、神経外胚葉に起源する神経堤細胞により形成される
ⅰ)頭蓋骨の原基は胎芽期はじめに間葉細胞の濃縮により形成される
ⅱ)頭蓋骨の原基は、頭部間葉、後頭体節椎板、鰓弓中胚葉、頭部脊索の4つの部分から起こり、その後欠く骨化中心の出現とその癒合が出生後にわたって行われる

③顔面及び顔面骨
ⅰ)ヒトの顔面は、胎生4-10週に原始口窩の周りの5つの顔面隆起、すなわち無対の前頭鼻隆起、1対の上顎隆起、及び1対の下顎隆起の癒合により形成される
ⓐ上顎隆起は第一鰓弓の背側を、下顎隆起は第一鰓弓の腹側を占めそれぞれ上顎骨及び下顎骨になる
ⓑ前頭鼻鼻隆起は、のちに側頭骨、額、鼻などになる
ⅱ)顔面の基本構造は、胎生約4-8週に確立するが、顔の中央部は胎児の発育から出生直後の時期まで発達不十分のままである
ⅲ)顔面骨を形成する間葉は神経堤由来

④頭蓋・顔面骨は、生下時45個の軟骨、及び骨性成分からなるが、骨癒合完成後の成人では23個(7個の頭部、16個の顔面骨)に減少している

⑤生後6ヶ月までは神経頭蓋の発達が内蔵頭蓋の発達に先行するが、その後は内蔵頭蓋の発達が神経頭蓋を上回る⇦顔面骨の発達は成人まで続く

11/21/2012

頭蓋骨の発生


1)概説
①分類
形態学的分類
❶神経頭蓋Neurocranium
脳を入れる頭蓋
ⓑ頭蓋冠と頭蓋底に分ける

㋐頭蓋冠
ⅰ 頭蓋腔の天井部
ⅱ 頭蓋冠は扁平骨であり、組織学的には膜性骨かにより発生→ 膜性骨と呼ばれる⇨頭蓋冠は膜性神経頭蓋と呼ばれる
㋑頭蓋底
ⅰ 頭蓋腔の底部
ⅱ 最初の頭蓋底形成に重要な役割を演ずるのは脊索
ⅲ 頭蓋底を構成する骨の大部分は軟骨性骨に属する⇨頭蓋底は軟骨性神経頭蓋と呼ばれる
ⅳ 頭蓋底の骨化には一定の順序有り⇨後頭蓋→蝶形骨体→篩骨
ⅴ 頭蓋底における軟骨内骨化は胎生3ヶ月のはじめに開始される

❷内蔵頭蓋viscerocranium(顔面頭蓋)
ⓐ口腔、咽頭や上気道などを取り囲む頭蓋
ⓑ顔面の骨で構成されているので、顔面骨とも呼ばれる
ⓒ顔面骨で構成される内蔵頭蓋は、鰓弓より形成される⇦顔面骨は第一鰓弓、第二鰓弓、第三鰓弓に由来する
ⓓ鰓弓内に出現する軟骨性原基から形成される骨を軟骨性内蔵顔面という(⇦耳小骨や舌骨の一部)
ⓔ構成する骨により軟骨性内蔵顔面と膜性内蔵顔面にわけられる

骨化による分類
❶膜性頭蓋⇦頭蓋冠は膜性骨化の発生過程をとる
❷軟骨性頭蓋⇦頭蓋底は軟骨内骨化の発生過程をとる



Ⅰ神経頭蓋と内蔵頭蓋はそれぞれ、
❶間葉細胞から軟骨の鋳型(硝子軟骨性原基)ができて、のちに軟骨内骨化により骨化する軟骨性頭蓋と
❷間葉細胞から直接骨ができる膜性骨化の発生過程をとる膜性頭蓋
 の2つに分けられる
Ⅱ神経頭蓋と内蔵頭蓋との境界⇨鼻根部から眼窩上壁をへて外耳道に至る面

11/15/2012

骨格系 発生


概説
① 一般に骨格の発生は、膜様期、軟骨期、化骨期の3つの経過を辿るが脊椎ではこれに加えて脊索形成が先行する。⇦脊索は椎体の中で退化、椎間板内では残存し、液性変化を起こし髄核になる

② 骨格系は神経堤(neural crest)と中胚葉(沿軸中胚葉と側板中胚葉)から形成される
ⅰ)沿軸中胚葉は神経管の両側に見られる中胚葉細胞の肥厚した柱で、およそ胎生17日目までに形成される⇦沿軸中胚葉は分節板とも呼ばれる
ⓐ胎生第3週末、沿軸中胚葉が分化して体節(somite)になる⇦体節からはのちに体幹筋、椎骨や真皮などが形成される
ⓑ体節は分化して、腹内側の椎板(椎節、硬節)と後外側の皮筋板となる


③骨化形式
ⅰ)膜性骨化
胎生期における未分化間葉細胞が骨芽細胞に分化し、類骨(osteoid)、骨小柱(bone trabecula)を経て骨細胞となる。これを膜内骨化(intramembranous ossification)という。骨芽細胞は複数の骨化中心で骨様組織を合成、分泌して骨様組織の無機質沈着が起きる。そしてその骨芽細胞は小腔に閉じ 込められ骨細胞になる。前頭骨、頭頂骨、後頭骨、側頭骨、頭蓋冠を構成する扁平骨、下顎骨の一部、鎖骨などがある。

ⓐ間葉組織細胞から直接骨化するもの
ⓑすなわち、軟骨細胞が形成されずに間葉細胞が骨芽細胞を経て骨細胞に変化して骨化が起こるもの
ⓒ結合組織性骨化ともいう

ⅱ)軟骨内骨化
胎生~思春期における硝子軟骨が骨組織に置換されることを軟骨内骨化(内軟骨性骨化)という。椎骨、四肢骨などがある。すなわち胎生期は軟骨で骨格が作られている。 細胞レベルで見てみると次の現象が起こっている。軟骨細胞は肥大化後、やがて細胞死する。細胞死中の軟骨細胞は破骨細胞に取り込まれて処理される。軟骨細胞がなくなった部分には、骨芽細胞が骨基質を分泌して骨を形成する。成長期では、軟骨細胞が破骨細胞に吸収される速さと、骨芽細胞によって石灰化していく速さが等しく、動的平衡を保っているため、身長が伸びる。ホルモン異常により、思春期を過ぎても骨化がつづく場合があり、末端肥大症や、巨人症を引き起こす。

中胚葉の間葉細胞濃縮が始まり、前軟骨状態及び軟骨を経て骨化が起こるもの

11/14/2012

頭蓋骨


ヒトの場合、成人の頭蓋骨は通常28個の骨から構成される。下顎を除いて、頭蓋の骨格はすべて縫合によって互いに連結されている。
8個の骨格が神経頭蓋を形成し、14個の骨格が内臓頭蓋を形成する。中耳の6個の耳小骨は側頭骨の内側に包まれる。通常、喉頭を支持する舌骨は頭蓋骨の一部と見なさない。

頭蓋顔面は、20個以上の骨から構成される頭蓋顔面骨としてまとめられ、その役割から脳や中枢神経組織を外部から保護する頭蓋骨群、その下部から支持する頭蓋底骨群、そして顔面を構成する顔面骨群の3つに大別することができる

頭蓋骨や顔面骨の多くは、骨芽細胞が直接骨を形成する膜性骨化様式であるのに対し、頭蓋底は一旦軟骨形成を経た後に骨に置き換わる内軟骨性骨化様式をとる

7/06/2012

原始胚細胞


胎生4週頃は、形態形成、組織形成に関連する多くの遺伝子が連鎖的に発現する時期とされ、体を形成するといった観点から極めて重要な時期といえる。
胎児期の原始胚細胞が段階的に分化して精子,卵子になる。また原始胚細胞は原始生殖腺を発達させて精巣、卵巣を形成させる。

原始胚細胞は胎生3週の頃、尿膜に近い卵黄嚢壁の内胚葉細胞間に出現し、胎生5週(生殖腺原基が形成されるステージ)までに後腸の背側腸間膜に沿いアメーバ運動で移動し、将来生殖腺原基となる生殖隆起に到達する。原始胚細胞は、移動に失敗し、目的地である生殖隆起に到達せずに他の部位に紛れ込み腫瘍化することもある。

第6週に原始胚細胞が原始生殖腺の生殖堤に到達すると生殖腺が発達し卵巣,精巣が形成される。原始胚細胞がないと生殖腺の発達が開始しない。

中胚葉由来の生殖隆起は、移動して来た原始生殖細胞と共に、生殖腺原基(後の精巣、卵巣)を形成する。
のちの成熟した生殖腺(精巣、卵巣)に含まれる細胞のうち、生殖細胞(卵子、精子のもと)となるのは、移動して来た原始胚細胞由来の細胞のみであり、生殖隆起を形成する細胞群は、その「いれもの」としての役割に終始する。
ヒトでは生殖細胞(原始胚細胞)が、生殖腺原基の器の部分(生殖隆起)を構成する細胞から分化してくるのでなく、別の場所で分化してから「移動」してくる、しかも生殖隆起は中胚葉性の中腎表面の肥厚、原始胚細胞は内胚葉性の卵黄嚢と、その由来までもが異なる。

これは、生殖細胞が他の細胞とは違う「特別な細胞」であること、将来生殖細胞の「いれもの」となる生殖隆起を構成する細胞群と、生殖細胞となる原始胚細胞とでは明確な役割分担があり、それぞれのアイデンティティーが確立されていること、生殖細胞の分化が胚発生のごく早い段階(遅くとも胎生3週の頃)で既に行われていて、別の細胞は、その肩代わりができないことを示唆している。