小児脳腫瘍の中には多くの種類の腫瘍が含まれますが、発生頻度の高いものとして星細胞腫、胚細胞腫瘍、髄芽腫、上衣腫、頭蓋咽頭腫が挙げられます。これらの腫瘍で小児脳腫瘍全体の約65%を占めると報告されています。2009年版全国脳腫瘍集計調査報告によると、発生頻度は星細胞腫 18.6%、髄芽腫 12.0%、胚種 9.4%となっています。
発生部位の特徴として、天幕下や正中線上に発生することが多いことが知られています。つまり生命中枢や神経内分泌中枢の近くに発生します。後頭蓋窩に発生する脳幹神経膠腫、髄芽腫、上衣腫などは前者の代表例ですし、神経下垂体部胚細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫、視神経神経膠腫などは後者の代表です。このため、手術による腫瘍摘出が制限されたり、放射線治療の範囲や照射量などにも制限が出てきます。
また、もう一つの特徴として、脳脊髄液の流路に接して発生するという特徴を有しています。これは、腫瘍が大きくなるにつれて脳脊髄液が流れにくくなったり、完全に流れなくなったりすることがあり、水頭症の原因となります。
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