8/02/2011

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍とは、原始胚細胞という細胞群が腫瘍性(からだの中で秩序なく増えていく性質)を獲得し、どんどん大きくなっていき、塊をつくってしまったものです。本来生殖器(精巣、卵巣)に発生する腫瘍群の総称で、なぜその腫瘍群が頭蓋内に発生するかはまだ分かっていません。

頭蓋内胚細胞腫瘍とは、5,6歳から思春期ぐらいのこども達におこる、どちらかというと男の子に多い病気です。神経下垂体部や松果体という脳の真ん中にある構造物付近に多く生じます。神経下垂体部病変では、ホルモンの異常により成長障害や尿崩症の症状でみつかったり、腫瘍の圧迫や浸潤により視力・視野障害などが出現したりします。松果体の病変では、水頭症や頭蓋内圧亢進症状から診断に至ることがあります。診断時に複数の病変や脊髄への播種を認めることもあります。日本での発生頻度を見てみると、全脳腫瘍の約3%で、5歳から19歳までの間にほぼ65%が集中しています。診断時の平均年齢は18歳前後と報告されていて、4歳以下や30歳以上の人たちにこの腫瘍群が発生することは稀です。また、男性に圧倒的に多く発生しますが、この理由もまだ分かっていません。

尿崩症(にょうほうしょう):尿中へ水分の排泄を調節する抗利尿ホルモンというホルモの異常により多尿となり、その結果摂取する水分が増える(多飲多尿)

水頭症(すいとうしょう):脳や脊髄の周りを循環する脳脊髄液が何らかの原因により異常に貯留し、脳室が拡大、過去あるいは現在において頭蓋内圧亢進を呈した病態

頭蓋内圧亢進(ずがい ないあつこうしん):頭蓋骨で囲まれた、脳が入っている空間の圧力が何らかの影響で上昇し、その結果脳に影響を及ぼすこと

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